◎ 不動産所得の総収入金額
 (税務上の注意点)



<敷引収入> や <日割家賃> の計上モレがないよう注意が必要です



◆ 税務における不動産所得の総収入金額は?



● 不動産賃貸経営をしていて店子から貰うものは・・・・
   @ 賃貸収入(月契約分の賃貸料・共益費等)

   A 新規の賃貸契約者から貰う <日割家賃・敷金等>



税務上の収入金額 ⇒ 契約等により貰うこと(収益)が確定したもの



敷引収入の計上に注意!! 契約条件で各年の収入金額が変わります



 ○ 契約時に受け取った敷金
500,000円


 ≪例≫敷金の返還条件
 解約時2割を差し引き残額を返還
 ○ 契約時に受け取った敷金 500,000円

 ≪例≫敷金の返還条件
  1年以内に解約の時,10%差し引く
  2年以内に解約の時,15%差し引く
  2年を超えて解約の時,20%差し引く






  • 契約時
     500,000円×20%=100,000円
  • 契約時 500,000円×10%=50,000円

  • 1年経過時
     500,000円×(15%-10%)=25,000円

  • 2年経過時
     500,000円×(20%-15%)=25,000円

  • 賃貸料の金額に関し店子と係争している場合→ 供託金を収入に計上します
  • 所有物件を子供に無償で住まわせている場合→ 所得税では使用貸借となりOK
  •  但し、経費の方でその住まわせている部分に係る
      (@)租税公課
      (A)減価償却(事業使用割合)
      (B)保険料(積立部分) 等々は必要経費にならないので注意が必要です



    ◆ 不動産から生じる所得の帰属について


    実質所得者課税
    の原則

    (所法12条)
  • 資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であって、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する



  • 所得税基本通達
    (12−1)
  • 資産から生じる収益を享受する者が誰であるかは、その収益の基因となる資産の真実の権利者が誰であるかにより判断すべきであるが、それが明らかでない場合には、その資産の名義者
    が真実の権利者であるものと推定する



  • 誤り易い例示(イ)共有物件を賃貸し、その全部を1人の所得として申告

    (ロ)配偶者や親名義の土地を、例えば月極め駐車場として、土地所有者以外の名義で契約し、その所得を契約者の所得として申告


    ● 転貸を受けた者がその転貸を受けた物件に対し何ら付加価値(内部造作等)を付けること無く再転貸をして収益を享受したとしても、その所得は不動産所得を生ずる不動産の所有者の所得とみなされる事になります




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    不動産所得の税務調査において、収入計上面でよく指摘を受けるのは、上記の日割家賃や敷引収入
    の計上モレです。 特に新規契約者について賃貸契約がどうなっているか契約書を確認しておくことが必要です。




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    tel: 06-6681-2144  税理士 服部行男
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